理事長所信

社団法人網走青年会議所
第57代理事長

波岡 英治

昨年度、社団法人網走青年会議所は55周年を迎えました。地域でご活躍されるご来賓の方々や敬愛する先輩諸兄、苦楽を分かち合える各地青年会議所の仲間をお迎えし、メインテーマを「不易流行」、サブテーマを〜新たなる飛翔〜として、伝統を守りつつ新たな時代へ飛躍していくこと誓いました。プログラムの中で網走JC第12期LOM中期ビジョンを内外へ発信し、新生網走JCへの第一歩を示したことは記憶に新しいところです。ここで過去・現在・未来という時系列を追った時、我々は何を問題点として、青年会議所として何を形作るべきでしょうか。

1990年代半ばに起こったバブル経済崩壊以降、日本を、北海道を、そして網走を取り巻く環境は、セーフティーネットも整備されつつありますが、まさしく膿を出すが如く痛みを伴う改革が進行しております。近年までは「閉塞感」という言葉が日本青年会議所のみならず、各地青年会議所でも多用される有様です。現在では一部で明るい兆しが見えつつも未だに実感として幸福感を得られる状況ではありません。日本の歴史を振り返りますと、終戦直後の混迷、昭和の大恐慌、江戸時代の享保・天保の改革、鎌倉・室町幕府の徳政令など、その結果はともかく先人達はいずれもこれらの経済危機を乗り越えて、現在までこの国や地域を形作って参りました。

その原動力は何だったのでしょう。自分の家族のため、自分が住む地域や国のためだったのではないでしょうか。現在のことばで言えば「家族愛」「地域愛」「祖国愛」といった自分の身のまわりに対する「愛着」がその原動力であったことは言うまでもありません。この国の、地域の、そしてJCの先人達が積み重ねてきた歴史は、当然我々現代人が受け継いで未来へ伝承しなければなりません。JC綱領にも謳われている「明るい豊かな社会」を目指す我々JCメンバーにとって、愛着を持って周辺環境から目をそらさず、より良い社会を創り上げていくことが使命であると考えます。

近年では多くの地方や都市圏において、地域経済の縮小と相まって人口減少に拍車がかかり、中には財政破綻する自治体も出現しました。道内の多くの自治体が、その危険性を孕んでいると言えます。そんな中、政府や自治体に頼りきる依存的体質から脱却し、民間のエンパワーメントの芽が徐々に息吹はじめている所もあります。規模が小さい自治体でも市民のエンパワーメントが向上すれば「地域力」も比例して高くなるのです。網走青年会議所が地域の諸問題を克服するためには、現状としてこれまで培われてきた「地域力」を向上させること、そして未来の「地域力」を育むことが必要です。それを達成させるためには我々JCメンバーはもちろん、市民一人ひとりがまちづくりの主体者になってこそ、そういった「地域力」の向上を図ることができると考えます。

我々は2006年度に社団法人網走青年会議所の第12期LOM中期ビジョンを策定し、公益法人としての網走JCが進むべき方向性を総会決議致しました。その中でも、市民のエンパワーメントの向上、地域力の向上について、表現した言葉は違いますがそのエッセンスは凝縮しております。本年度はビジョン策定後2年目に入ったと同時に、公益法人法の制度改正初年度になります。中期ビジョンの最初に謳っている「地域の公益のために運動を展開する」ことを念頭に、本年度は現在から未来に向かって網走の地域力向上を目指した運動を展開して参ります。

そのためにも、事業と例会の質を更に向上させることを目指します。2007年度に行われました55周年のテーマである「不易流行」の精神、そして、前述のLOM中期ビジョンに沿って組織、運営、各事業について、網走JCの未来を見据えて変革して参ります。

組織面では、限られた少人数に役割が集中することを避け、多くのメンバーがそれぞれの役割を自覚した上でその職責を全うできるよう、例年以上に役割の再配分を致しました。このことにより役割配分の均一化を進め、メンバー一人ひとりに課せられた職務に対する意欲の向上を図り、事業の達成感を享受していただきたいと考えます。また、次代の青年会議所を担う新入会員に対し、三役が積極的にその研修に関与致します。仲間意識、公益の精神、地域愛の向上を目指し、JAYCEEのボトムアップを図ります。

運営面では、諸会議の効率化と同時に、それぞれのシーンで議論できる工夫をし、事業や例会の質をこれまで以上に向上させるよう努めて参ります。その中で、メンバーの人間力向上を図る手法も継続して参ります。また、総務系事業や広報活動を公益法人たり得るよう正確かつ迅速に行うだけでなく、メンバー間の繋がりを強固にするための手法を取り入れ、LOM内の結束力を図ります。財務についても、引き続き予算配分の適正化を図り、公益法人として公正かつ円滑なLOM運営を推進いたします。

そして地域開発系事業では、網走の地域力向上を目指して運動を展開いたします。

まず一つに、現状の地域力を向上させる事業を推進して参ります。他団体と協働し、多くの市民がまちづくりの主体者となれば、地域力の向上を図れると考えます。この地域の人口減少や財政再建等による経済規模の縮小を別な形で補填するには、我々の活動を通して市民のまちに対する愛着を向上させることが必要です。JCが独善的にまちづくりをする時代は終わっています。市民の目線に立ちながらニーズをキャッチし、社団法人網走青年会議所だからできる協働事業やオリジナリティーあふれる事業に取り組んで参ります。

もう一つは、未来の地域力向上を目指して運動を推進して参ります。網走青年会議所が社団法人格を取得した当初から、青少年事業に関する事項を定款に謳っており、これが社団法人網走青年会議所の特徴ともされています。子供達や子供達を取り巻く環境をよりよい方向へ改善し、この地域に愛着を持ってもらうことで、未来の地域力向上が図れるものと考えます。こどもたちが健やかに暮らせる社会を築くことを目指し、より良い人間形成を促す運動を展開いたします。

我々は網走に存在する唯一の公益法人格を持った青年団体として、意欲的に率先してこのまちのために運動をいたします。しかしながら、我々が理想を実現することを目指す、このJC運動を継続させるためにはマンパワーが必要です。国籍・性別・宗教・業種等を問わない品格ある青年の集まりである以上、団体として柔軟かつ多角的な発想が求められています。一人でも多くの仲間を増やすことで、青年会議所の魅力も向上します。最初から能力がある人間はおりません。職業を持って何某かの問題意識があればそれだけで戦力なのです。JCの輪をこの地域(まち)に広げることで、仲間づくりもまちづくりも達成できるのです。十人十色と言われるように、性格も価値観も違う仲間が一緒に同じ方向を向きながら事業を達成させることで感動を共有することができ、連帯感も深まります。より多くの仲間が集い、出会いの機会を増やし、更に魅力あるJCを目指します。

個人が社会に対して責任を持ち、一人ひとりの人間が社会のための行動をする時代になりました。全体が依存するだけの集団では厳然と淘汰される宿命であります。また、個人個人が勝手に自立するだけの集団では烏合の衆となります。これからの青年集団があるべき姿は、自立した人間同士が相互依存しあって英知を結集し、より高い次元の理念、行動、結果を示す必要があるのです。魅力あふれる未来の網走に向けて、自らの豊かな発想と公共の心を大切にし、地域の価値をみんなで創造して参りましょう。