2012年度社団法人網走青年会議所 理事長所信
第61代理事長 吉田 純也
はじめに「原点」
北海道地区大会網走大会が開催された2005年、大会に向けた大きな期待と不安、高まる緊張と興奮に包まれている中、私は社団法人網走青年会議所に入会しました。額に汗して歯を食いしばりながら走り回る姿や、半ば喧嘩のように議論し合う光景にただ圧倒される毎日。そして秋、大会の閉会宣言を言い終わらない前に、人目も気にせず大泣きしている先輩達、気が付けば、たった数ヶ月しかJCに携わっていない自分も涙をこらえる事が出来なくなっていました。思い起こせば、そこが私のJC運動の始まりの点、すなわち原点でした。何気なく勧められるがまま入会し、自分の事しか考えられなかった私が、何事も自分事として捉えられるようになったのも、この青年会議所を通じて得た気づきと学びがあったからだと思っています。
繋がり「点」を「線」へ
本年度、組織を束ねるリーダーとしての大役を担う上で、これまで私が歩んだ「点」を今一度振り返ってみると、私は決して一人ではなく、常に私の傍らには多くの仲間がいました。その仲間に助けられ、育まれたこれまでの私の歩み、過程において、実は多くの仲間と常に繋がっていることを実感しました。
JCという組織において、全く同じ人間など誰一人として存在しませんし、皆それぞれに個性があります。しかし、各々がてんでばらばらに行動していたのでは組織は機能しないのです。私の原点からこれまでの歩みを振り返った時、それぞれ個性ある皆が、同じ理念、信条を常に持ち運動を行ってきました。個人という「点」が、理念、信条という共通の価値観で「線」として繋がっているのです。各々の「点」をより強い繋がりを持った「線」に繋げていく、そしてベクトルを同じにして、創造すべき輝く未来へと同じ目線で行動していくことが必要です。
個々のメンバー皆が繋がっていてはじめて意味があります。そしてその輪をさらに大きく拡げていきたい。JCにしかない、JCだからこそできる運動は、その様な同じ価値観を共有し、各々が強く認識していく事からはじまるのです。その輪をさらに拡げていくことが、能動的な市民としての市民意識変革運動に繋がるものだと強く信じます。
繋ぐ思い〜時を結ぶライン〜
まちづくり運動を通して網走というまちを改めて見つめ直した時、本当に素晴らしいまちだと感じました。それは、先輩諸兄が戦後まもない1952年に、英知と勇気と情熱を持ってこの網走の更なる発展を目指しともしたJCの灯があったからに他ならないからです。そしてその灯を消すことなく移り変わる時代の中で、地域に根差した運動を展開し続け、今日まで途切れることのない「線」として繋いで頂いたことに心から感謝しています。振り返れば、青年会議所の理念を胸に抱き、常に明るい豊かな社会の実現を目指して青年が集い、運動を展開してきたこの60年という歴史の連続性、途中で一度として途切れることなく、次へ、また次の世代へと「線」を繋いで頂いた結果が今の網走青年会議所であります。それは、連綿と続いてきた歴史と伝統によって描かれた、一本の長い真っ直ぐな「線」であると思います。
本年度、創立60周年という節目を新たなるスタートラインとして、我々もまた明るい豊かな社会の創造に向けて、この「線」としての過去からの繋がりを断絶させることなく、次代という未来へと繋いでいく責務があります。地域の人々と共に繋がり合い、論ずることのみに終わるのではなく、我々が中心となって行動を起こし、この網走の大きな可能性を「かたち」にしていこうではありませんか。その過程において、得られる学びや気づき、出会いを通じて我々自身も成長していく一年を創造できるよう、時のリーダーとして揺るぎない使命感と責任感を持って、みなさんと共に歩んでいくことを約束します。
不易流行
我々は昨年第13期LOM中期ビジョンを策定し、我々のあるべき姿、これから進むべき道を検討し、その実現へ向けた活動のために最適な法人格が何であるかについて真剣に議論しました。結果、同年9月に一般社団法人へ移行することが最も適していると判断し、会員総意のもと総会決議いたしました。
そこで、本年度中に移行申請を行った上で、2013年度の一般社団法人網走青年会議所へ繋げてまいります。かつて1952年に網走JCが誕生し、その後1977年に社団法人格を取得したことにより現在の我々が存在します。目まぐるしい社会の変化に対応し、創始の精神を忘れることなく脈々と受け継がれてきたJC運動の展開があったように、法人格が変われども何が大事で、何の為に我々があるのか。「不易流行」の言葉にある通り、時代に伴い変化を重ねる中にも、いつの時代においても変化しない本質を忘れてはいけないという事をしっかりと認識しながら組織運営を行うことで輝く未来の創造に繋げていこうではありませんか。
威信伝心〜心と心を結ぶライン〜
我々の推し進めている市民意識変革運動をよりこの地域に展開していくためにも、自身の運動に自信と誇りをもち発信をしていくことが必要だと思っています。
この網走をより良くしたいという「思い」や「理想」を広く市民に心から伝えいくことが重要で、そうすることにより、JCメンバーから発信され、市民の心から心へ繋がりをもたらす伝播という運動になり得るのです。それは、伝える側の責任も明確化され、常に見られている自覚、己を律することの重要性をも生み出し、我々の普段の行動から見つめ直さねばならない自覚も生みだされます。JCと市民を結ぶ「線」を力強く描くこと、つまり効果的な発信を我々が行うことで、このまちに対する「思い」「理想」をより多くの市民に威信伝心する事ができれば、JC運動のさらなる飛躍に繋がるものと確信しています。
まちの生命線〜人と人を結ぶライン〜
誰しもがこの世に生を受けて今があります。そして、その恩恵に感謝し日々を無駄にすることなく生きていかなければなりません。しかしながら近年、親が子をあやめ、子が親をあやめる事件に象徴されるように、親、祖先をはじめ、周囲の多くの人によって「生かされている」ことに気付かず、自ら命を絶ってしまうなど、命という何物にも代え難い尊いものを知らず知らずのうちに軽んじてしまっているのではないでしょうか。困難な時代だからこそ、怯まず逃げず恐れず生きていく、まさに生き抜く力が必要で、その中で我々は常に生かされているという感謝の念を持ち続けなければなりません。
そして、それは人と人の繋がりの中で自然と身につけていくものです。しかし、最近この関わり合いが薄れてきているのではないでしょうか。だからこそ地域コミュニティーの最小単位である家族という親子の関係、「線」を大事にしていなかければならないのです。このまちの将来において、重要な生命線は親子の「ライン」、すなわち親と子の繋がりだと思います。親と子、家族がばらばらであってはならないのです。親子がしっかりとした強い絆、「線」で結ばれていて、その最小単位の家族という繋がりが充実したものであって始めて「地域」というものが成り立ちます。子供達の可能性は無限大です。親子、そして人と人の繋がりが拡がることで将来の網走の大きな可能性を「かたち」に出来るものと考えます。
帰属意識の醸成〜行動へ繋ぐライン〜
我々は第13期LOM中期ビジョンにおいて、「すべての市民において人間力開発が達成された明るい豊かな社会」を使命に掲げ、そのためには帰属意識の希薄化という現状を打破しなければならないと唱いました。
我々も含め市民が問題解決に向けて行動していくためには、一定の知識や技能を身につけると同時に、人が人を感化する影響力や人が人を活かす力といった人間力を養う事が重要であると考えます。そしてその根本には網走を愛する気持ち、もっというならば日本を愛する気持ち、つまり共同体への帰属意識が重要であると考えます。
そして、未解決の北方領土をはじめとする領土領海問題の根幹にもこの帰属意識が大いに関わっています。残念ながら、北方領土問題について国民が自分事として捉えた上で、返還運動が盛り上がりを見せているという状況ではありません。JCメンバーだけでなく、国民一人ひとりが共同体へ帰属しているという意識を醸成していかなければ、領土問題を始めとして多くの課題解決に向けての行動へとは繋がりません。
帰属意識を醸成していく中で、人間力開発を推し進め、行動へと繋げていくことが、輝く未来の創造に向けて必要不可欠です。
そして、我々は人としての人間力を高める修練の場から得た気づきや学びを実践しなければなりません。それはJCでの行動のみならず、会員一人ひとりができる行動をしてこそ真の人間力が養われるのです。
むすびに
みなさんは何故JCに入会したのでしょう。入会してからどんな事を学び、どれだけ自分が変わり、どれだけこの地域(まち)に貢献できたでしょうか。
「朝(あした)に道(みち)を聞(き)かば夕(ゆう)に死(し)すとも可(か)なり」
論語の一節ですが、朝に道を聞くことができれば、その日の夕方に死んでも後悔しない。真理を求める尊さをいう言葉です。つまり真理、本当に大切な事に「気付く」ことが如何に貴重な体験なのかを教え諭す言葉です。
JCには本当に多くの気付きと学び、そして出会いの場があります。しかし、その多くは自らが積極的に求めて行動を起こさなければ得ることは出来ません。JCには様々な環境の会員が在籍し、それぞれ会社の環境も家庭の環境にも違いがあり、JCと仕事と家庭に対する考えも人それぞれでしょう。ただ、JCは誰もが40歳までしか活動できません。その中で大切な事は、みなさんがどれだけ真剣にJCと向き合うことが出来るかです。まずは自分を見つめ直すことから始まります。そして私たちに求められているのは行動です。何事も一生懸命に取り組まなければ何も得ることは出来ないし、友情も築けるはずはありません。すべては皆さんの行動次第なのです。己を律し、皆がちょっとずつ背伸びをしながら、そして他がために志を同じく力を合わせ、精一杯力強く勇往邁進して行きましょう。
そして本年度、私は何事も結んでいく事が大事であると考えています。全ての「点」が各々でしか機能しなければ、それは「てんでばらばら」です。この地域の「点」を「線」で結び一つの「線」にしていかなければならないのです。それは同時に我々の組織も同様であると考えます。そのために今年一年、輝く未来の創造に向かって皆で共に一つの「線」を描こうではありませんか。
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